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ワインの会ヴィンベーロ 柏ワインクラブ
ワインの会「ヴィンベーロ」 第79回
ロバート・パーカーとボルドー -真に偉大なワインとは何か?パーカー侍がボルドーを切る-
2 MAR 2005 モダンタイムスにて

伝統的で厳格な格付けが支配してきたボルドー・ワインに、テイスティングによる新しい格付けという革命を起こした侍がいます。
パーカー・ポイントという切れ味鋭い刀を持ったロバート・パーカーは、ボルドーを変えました。
価格の高いワインが偉大なワインという伝説を覆したのです。
真に偉大なワインとは何か、パーカーの功罪を検証しながら考えてみましょう。

■パーカーとボルドー
一部のボルドーのワイン生産者達は、 300 年来彼ら自身がワインの水準を決めてきました。彼らが「このワインは世界にもっともふさわしい」といえば、そのように受け入れられてきた歴史があったのです。それ対して納得できない人がいても、「彼らはワインを良く知らない」のひと言でかたづけられていました。人々からは羨ましがられるステイタスを維持しつつ、大量のワインが高価で売れるような産業構造を形成していました。
気候が寒すぎたり雨が多かったりした時には、ワインは「難解」と表現されたり、「賞賛に値するほど厳格なワイン」だったりしたのです。もし若いうちに酸味が強すぎて飲めないほどであれば「すぐに飲むワインではなく、円熟するまで待ち、次世代に楽しむべき」とされたりもしました。
そこにパーカーが登場してきたのです。旧来の格付けを無視したそのアメリカ人らしいアプローチが、フランス国内の消費者にもアピールするようになると、ボルドーの人々は、需要と供給の法則を無視してワインの生産を続けることが出来なくなり、「偉大なるワイン」が常に良いとは限らないということを認めざるを得なくなったのです。(「アトランティック・マンスリー/ロバート・パーカー特集」より引用)

■パーカー・ポイントとは?
ワインの評価に大きな影響を与えたロバート・パーカーとパーカー・ポイント。 パーカー・ポイントとはどのようなものなのでしょうか?
パーカー・ポイントは、パーカーがそのワインを同期のワインに比べてどう評価したかを示すガイドラインで、ワイン雑誌「 The Wine Advocate 」(ザ・ワイン・アドヴォケイト)で採用している採点法です。
加点方法を採用し、すべてのワイン与えられる基本の 50 点から最も栄えある味覚上の経験をさせてくれるワインの 100 点までの範囲で加点していきます。
加点方法の概略は以下の通りとなっています。
ワインの一般的な色や様子: 最高 5 点。
アロマとブーケ: 最高 15 点。アロマやブーケの強さのレベル、エキス分、それからワインのきれいさによって変わる。
味わいとフィニッシュ: 最高 20 点。点数をつける際には、味わいの強さ、バランス、きれいさ、深み、口の中に残る余韻の長さといったものすべてが重視されている。
全体的な品質のレベル: 最高 10 点。成長し、よくなっていく(熟成する)可能性に対して。
一般的なガイドラインとして、パーカーは彼の著書「ボルドー第 4 版」の中で次のように語っています。
90 〜 100 点: いわゆる「優」であり、傑出したワイン、特別な労作にのみ与えられる。このカテゴリーのワインは、そのタイプとして生産されたものとしてはまさに最良のものであり、ミシュランの三つ星のようなもの。苦労して探し、試すだけの価値があるものだ。 90 点と 99 点では大きな差があるが、いずれにしても最高の出来である。
80 〜 89 点: 学校で言うところの「良」であり、特に 85 点から 89 点のものはとても優良である。このグループに入ったワインの多くは、相当の値打ち品であることも多い。私なら、これらのワインならどれであろうと、ためらわずに自分のコレクションに入れてしまうだろう。
70 〜 79 点: 「可」というか平均点だが、 79 点の方が 70 点よりずっと望ましい点数なのは明らかなことだ。 75 点から 79 点のワインは一般に気持ちがよく、率直で、ただし複雑さや個性、深みには欠けている。安ければだが、あれこれ言わずに、がぶ飲みするのに最適のものである。
70 点未満: 「不可」あるいは「落第」である。本書では、バランスが悪いとか、傷がある、ひどく鈍重な、水で薄められたようなワイン、つまり聡明な消費者にとってはほとんど興味の対象とならないワインのしるしでもある。

■パーカーの功罪
パーカー・ポイントが世界中の人々に認められるようになると、消費者の心理や市場にも大きな影響を与えてしまうことになりました。
パーカーの功罪を考える上で興味深いエピソードをご紹介します。パーカーに「秀逸」と評価されたある作り手が彼の著書の中でパーカーに対する意見を述べています。
「彼は 100 点法でワインを採点し、分類体系とランキングを確定した。それはアメリカのワイン愛好家だけでなく、彼の著作が翻訳されて以後はフランス人たちにも影響を与えている。彼の権威はかなりのもので、うちはロバート・パーカーの好意的な評価のおかげで、日本の大きな市場をとることができた。だからボルドーはふたつの陣営に分かれている。望ましい採点を受けた人たちはパーカー現象を称賛し、そうでない人たちはやりすぎだと感じている。距離をおいてみれば彼の影響は少し過剰だと思われるが、うちはいい採点をもらっているので、気難しい態度をとることができない。」(『メドック至高のワインづくり』フィリップ・クリアン、ミシェル・クレニュー、草志社刊)

パーカーの功罪について簡単にまとめてみました。
肯定すべき所
>> 数字での評価は、消費者から見れば非常に分かりやすい、「どういったワインが専門家からみて秀逸とされるのか」ということを理解する上で、役に立つ。
>> 「高額なワインの評価が必ずしも高いとは限らない」ということを理解する上で非常に訳に立つ。
マイナスの影響
>> パーカーに低く評価された生産者が訴訟を起こすという事態もある。
>> 高得点を得たワインの価格が急上昇してしまう。
>> 数字が「ある専門家の評価」ではなく、個々のワインの「品質」を表していると考えてしまう消費者が出てくる⇒パーカー・ポイントの一人歩き。同じ 90 点のワインでも品質や特徴はちがう。
>> ワインショップなどが点数だけを使っており、数値を独り歩きさせてしまっている。
>> 高得点をもらえそうなワインをつくる生産者が出てくる(産地や畑による違いがなくなってしまう。)

■ボルドーの白ワインを知る
2003 Macon Bissy Crays vers vaux Vieilles Vignes / Jean Rijckaert
マコン・ビシー / ジャン・リケール  ブルゴーニュ
ジャン・リケールはブルゴーニュにおける白ワインの最高の造り手として有名な「ヴェルジェ」の共同経営者としてジャン・マリー・ギュファンと共にワインを造ってきました。1997年に独立して自分自身の名前でワインを造り始め、「ヴェルジェ」と同様ドメーヌ兼ネゴシアンの地位を併せ持つ利点により、途方も無い高品質ワインを生み出す潜在能力を十分に秘めています。その実力はデビュー・ヴィンテージの1998年から発揮され、彼の生み出すワインの殆どにロバート・パーカーは90点前後の評価を与えています。ワイン・アドヴォケイト151号でも、2002年のリケールのワインはどれも非常に高く評価され、ブルゴーニュの白は、傑出した作柄であったとされています。  Cha100%
2003 Ch. Doisy Daene Sec / Bordeaux
シャトー・ドワジー・デーヌ・セック  ボルドー
ソーテルヌ地区で2級に格付けされるシャトー・ドワジー・デーヌが造る辛口の白ワイン(アペラシオンはボルドー)です。品種はソーヴィニョン100%。澱の上で10〜15ヶ月樽熟成させ、軽く清澄作業を行います。白ワインならではのフレッシュさ、そして芳醇な香りをもち、長い余韻が特徴的です。色調は淡い黄緑色、洋梨、桃、菩提樹の繊細な香りがします。フレッシュ感もあります。味わいは、素晴らしい果実味、見事な清涼感が口中に広がり、白トリュフのニュアンスを持った素晴らしいキャラクターを持っています。2002年ヴィンテージは近年の中で最も良いヴィンテージのひとつです。
2000 Aile d'Argent / Bordeaux
エール・ダルジャン  ボルドー / パーカー・ポイント92
かのシャトー・ムートン・ロートシルトが造る白ワインです。エール・ダルジャンの畑は、ムートンの土地に3つに分かれており、畑の特性に合わせて、ソーヴィニョン・ブラン、セミヨン、ミュスカデルが植え分けられています。この2000年エール・ダルジャンはロバート・パーカーが92点を付け、ムートンの白ワインの中でベストヴィンテージであるとともに、シャトー・マルゴーのパヴィヨン・ブランに対抗できるメドックの洗練された白ワインであると賞賛しています。スイカヅラ、マンダリン・オレンジ、シトラス、スモークが混ぜ合わさった白い花の風味を持ち、フルボディーで強い香り、凝縮された豪華なスタイルを持っています。
セミニョン48% S,B38% ミュスカデル14%

■ボルドーの赤ワインを知る
2002 Gevrey Chambertin / Michel Magnien
ジュヴレ・シャンベルタン / ミッシェル・マニャン
ブルゴーニュ / パーカー・ポイント87-89
ドメーヌ・ミッシェル・マニャン・エ・フィスは、今でこそブルゴーニュを代表する秀逸な生産者として認知されていますが、現在に至るまでに、数多くの困難と災難を乗り越えてきました。ワイナリーの革新のための樽部材によるコルク臭の発生やそれに伴う裁判などその道は平坦ではありませんでした。一時は何もかも失った彼らですが、決してワイン造りの道だけは諦めませんでした。ミッシェルの言葉がとても印象的です。「ゼロからの出発でしたが、幸運にもすばらしい1999ヴィンテージで再出発することができました。」苦渋の時代を乗り越え、確かな手ごたえを掴んだミッシェル・マニャンのワインは、テロワール、ブドウ、そして造り手、三位一体が渾然として飲み手に語りかけてくれるような感動が得られます。  P,N100%
2000 Ch. de Rouillac / Pessac-Leognan
シャトー・ドゥ・ルイヤック / ペサック・レオニャン
ボルドー / パーカー・ポイント87-89
38ヘクタールのドメーヌの真ん中に控えめで厳かなこのシャトーは位置しています。素晴らしいテロワールを持つこのペサック・レオニャンの地で、ラフラジェット家の人々は、入念で極上のワイン造りを目指しています。ぶどうは、籠に手摘みされ、注意深く選別されます。このワインは非常に複雑で際立った果実味を呈しており、きめの細かいタンニンとのバランスは、最高と言えるでしょう。
C.S75% M25%
2002 Fontenil / Fronsac
シャトー・フォントニル / フロンサック
ボルドー / パーカー・ポイント88-90
フロンサックという限りない可能性を秘めたアペラシオンを世に認識させたワインがこのフォントニルと言っても過言ではないでしょう。あのミッシェル・ロランが所有しプロデュース。ペトリュスを超えるワインを造ることを目指し、最も愛着のあるワインと言えるこのワインはラベルに彼のサインが記されています。燻したようなニュアンス、ブラック・チェリー、カシス、甘草など表情豊かな香りがあります。程よい深み、柔らかいタンニン、滑らかな舌触りのワインです。
M90% C,S10%

■パーカー・ポイントを知る
2000 Ch. Plaisance Cuvee Tradition / Premieres Cotes de Bordeaux
シャトー・プレザンス・キュヴェ・トラディション
プルミエール・コート・ドゥ・ボルドー

パーカー・ポイント88
シャトー・プレザンスはプルミエール・コート・ドゥ・ボルドーに位置しています。そしてこの造り手は、ボルドー地区の中でも最も古く、また有名な造り手の1人です。石灰石の崖の上に位置し、右手にはガローヌ川を望み、グラーヴ地区に向かいあっています。100エーカーある敷地のうち62エーカーに、メルロ、カベルネ・ソヴィニョン、カベルネフランの3種類が植えられています。中くらいのガーネット色。かすかに心地よい土と革の複雑さを伴った、カシスと杉の香りがします。口中では典型的なクラレットのプロフィールである、かすかにスパイスと革を伴ったカシスとブラックベリーが現れます。程よいタンニンのお陰で、噛み応えのあるしっかりとした構造を持っています。ミディアム・ボディで、中くらいからやや長めのフィニッシュです。品種はカベルネ・ソーヴィニョン55%、メルロ45%です。
1993 Chateau Grand Puy Lacoste / Pauillac
シャトー・グラン・ピュイ・ラコスト / ポイヤック
パーカー・ポイント87
グラン・ピュイ・ラコスト(格付第五級)はジロンド川から離れたバ-ジュの丘にあり、大柄で寿命の長いフルボディのポイヤックそ産することで定評があります。1993 年から1995 年の間は秀作を産出しておりますが、価格の面ではクオリティに対してリーズナブルなワインです。色調はダーク・ルビー、パープルで草やカシス、タバコの香りがし、更には熟したカシスフルーツ、グリセリンの魅惑的なコンビネーションが楽しめます。ミディアムからフルボディ、酸度は低く、素晴らしく熟した甘美な味わい、今後7,8年に渡って楽しめる美味で享楽的なスタイルのグラン・ピュイ・ラコストです。
C,S70% M25% C,F5%
2001 Clos de Sarpe / St Emilion
クロ・ドゥ・サルプ / サン・テミリオン
パーカー・ポイント95+
このワインは最も大柄で、最も芳醇で、最も強烈に凝縮したサン・テミリオンの2001ヴィンテージであろう。悲しいことに、清澄処理も濾過処理も行われない、ほとんどが樹齢60-80年の古樹よりのメルロ85%、カベルネ・ソーヴィニョン15%のブレンド(1ヘクタール23ヘクトリットルの収量)のこのワインは900ケースしか生産されない。大柄で、神酒のようなスタイルをしており、信じられないほど純粋で、芳醇で、しかしながら、一切の妥協を許していない。1800年代のワインのモダン・ヴァージョンなスタイルに思われる。ものすごく凝縮していて、口に含むと力強く、猛烈に高いレヴェルのタンニンを伴うが、エキスのレヴェルも高く、これは辛抱強い、玄人向けのワインであることを意味する。これは魅惑的に発展していき、30‐40年は持つであろうが、控えめに言えば、2010年から2025年の間に飲むべきであろう。全ての面において、この見事な努力の結晶は遠く昔の先祖がえりであろう。(ワイン・アドヴォケイト153号のコメントより)

■カルトワインを知る
1996 La Mondotte / St Emilion
ラ・モンドット / サン・テミリオン
パーカー・ポイント95-98
1996年から造られた非常に若い歴史のワインですが、数万円から10数万円で取引されるシャトールパンやヴァランドロ-などと肩を並べる実力を持ったボルドー右岸のカルトワインの1本です。ファーストヴィンテージであるにもかかわらずこれほどの高得点を獲得し、今後の期待を含めて「最後の真打」ともいわれるワインとなりました。わずか4hの畑から樹齢60年というメルローを使ったこのモンドットは、厳格で完全主義的なドイツ人オーナーが、徹底した低収量と高品質のために可能なことの全てつぎ込んでいます。その意気込みからかラベルにはシャトーとも生産地区であるサン・テミリオンすらも記載されておらず、これが“モンドット"であることを飲むものに伝えています。
M100%

本日のお料理
冷製/ボンゴレ・ロゼ
アンティパスト・ミスト“プリマベーラ”
下関産鰆のゴルゴンゾーラ焼き/ポートワインのソース
佐賀牛ヒレ肉のソテー/ボルドーワインのソース
十三湖産しじみのリゾット
ムース・トリコローレ



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